借家人、借地人の破産について


借家人、借地人の破産について

1 借家住まいの人が破産をした場合

借家住まいの人が破産した場合(店舗使用でない場合です)、借家人に家賃の滞納がないのであれば、借家人がそのまま住み続けることが多いです。

時々、賃貸借契約の内容に、借家人の破産を賃貸借契約の解除事由としている場合がありますが、借家人が家賃を滞納していないのであれば、破産したことだけを理由に、訴訟で明渡しを求めることはできません。

そうではなく、借家人に家賃の滞納がある場合は、借家人は、破産の申立をする前に、賃貸借契約を解除して明け渡すか、全額家賃は支払うか、という対応をすることが一般的です。

借家人の立場では、破産開始決定前までの家賃は、破産債権となり法律上支払わないで終了させることができるので、可能であれば明渡しをしたほうがよいことになりますが、明渡しを求められると住居がなくなってしまうような場合は、全額支払うしかありません。

あまり多くはありませんが、借家人が、家賃の滞納があるまま、破産申立をした場合、大家は、破産開始決定までの家賃については、諦めるしかありません。

大家としては、未払いの家賃があることを理由に、明渡し訴訟を提起して明渡しを求めることになります。

なお、生活保護者の場合は、明渡し訴訟を提起されると、引っ越し費用が出やすいという点があるので、比較的、明渡しが容易に実現できます。

余談ですが、都営住宅の明渡し訴訟の訴訟担当者は、弁護士による入札となっています。

2 借地人の破産

借地人が破産した場合、建物と借地権が破産財団となります。

破産管財人が、建物と借地権の買い手を探し、その価格が破産財団に組み込まれます。

この場合、破産管財人は、通常通り、借地借家法19条で譲渡許可を求めることもできますが、ある程度の時間がかかることが見込まれるので、同法20条で、競売等で取得した買い手が、譲渡許可を求める方法をとることもありえます。

ただし、建物と借地権は、購入者が限られていることもあり、高い価格がつかない可能性もあります。さらに、破産開始決定後の地代の支払いは、破産管財人が、破産財団から支払わざるをえないので、破産管財人としては、時間をかけたくないというのが本音です。

その場合、地主としては、借地人が破産をしていない場合と比べて、安価に買取ができる可能性が高いので、借地権の買取を申し出るチャンスだと言えます。

この点に関しては、後日、別途、コラムにする予定です。

以上