【神田お玉ヶ池法律事務所】東京都千代田区の法律事務所

相続

相続

「ご自分の相続に備える。」「相続人となった。」様々なお立場に合わせ、ご相談に応じます。

弁護士に対する相続の相談の多くは、相続発生後、「借金がある」「兄弟間で争いが起こった」「遺言書がおかしい」等というものです。
ところで、相続後の紛争を防止する(事業承継も含む。)には、相続が発生する(亡くなる)前でかつ認知症がひどくなる前(保佐程度までで、被後見状態になる前)に、相続人となる人(推定相続人)と、どんな財産をどのように相続するのか意向を確認してから、遺言書を作成することが重要です。事前の対策は、2015年から相続税が増税されますが、その対策にもなります。
そこで、相続が発生した場合に備えて何ができるかのご相談に応じたいと思います。
また、相続が発生した後の、相続人としてのご相談にも対応しています。

相続関係事件の方針

相続に関係する事件には、いろいろなものがあります。相談いただく方がどのような立場で、本音では何を目的としているのかを聞かせていただいて、それを解決できるか、検討するという流れになります。

お立場が、遺言を書く予定の人であれば、財産、負債の調査と、今後にかかる可能性のある費用の概算、推定相続人の意向確認等を受任します。
相続前の対策は、亡くなる時期は分からないこと、亡くなるまでにどれくらいのお金がかかるか分からないこと(病気等)、推定相続人が先に亡くなることもあること等から、不確定な要素が多いため、柔軟に方針変更できる案にする必要があります。不確定な要素に備え、相続人らによる遺産分割をしやすくするためには、現預金や有価証券を多く残すことです。しかし、現預金や有価証券は、不動産に比較して相続税の評価上不利です(現預金・株は時価で評価。これに対し土地についての相続税路線価は時価の8割。)。とはいえ、不動産以外の財産がほとんどないと、日常生活さえ困難になり、相続発生後も、相続人は納税に困難をきたします。財産の総額にもよりますが、ある程度の納税も想定して、日常生活の安定を第一に図ることだと考えています。 なお、相続税について相続に精算課税制度が導入されたため、推定相続人の事業の状況や生活状況によっては(推定相続人が直ぐにお金を必要とする状態にある等)、生前贈与も検討対象となります。

相続発生後のご相談では、まず、被相続人の資産と負債を明確にすることから始めますが、家族とは言え、他人の財産の現状を把握することは、容易ではありません。会社や個人事業をやっていた方の場合、滞納したままの信用保証協会や日本政策金融公庫(国民生活金融公庫等の後釜)からの借り入れがある場合もあります。ある程度の時間をかけて、郵便物等から、また金融機関等に照会しながら、資産、負債を調査する必要があります。負債が超過なら、相続放棄又は限定承認(非常に稀)をします。他の相続人が被相続人の財産を取り込んでいるような場合や、遺言書で遺留分が侵害されている場合は、権利を諦めない限り、法的紛争とならざるを得ません。

解決への流れ

① お問い合わせ・ご相談

自分の相続後について考慮されている方も、相続人となってからの問題に直面していらっしゃる方も、遠慮なくご相談ください。
不動産をお持ちの方、又は不動産を相続なされた方は、登記簿謄本、公図、建物配置図(以上は法務局でだれでも取得可能)、契約書、固定資産税の納税通知書、近隣の不動産に関するチラシなどお持ちいただくと、だいたいの時価が分かるので、中身の濃い相談にすることが容易になります。
また、負債がある場合、負債に関する資料は必ずしも入手できているとは限りませんが、ある場合はお持ちいただければと存じます。

② 進行

ご自分の相続に備えるという方は、遺言書の作成が目標となります。しかし、上に書きましたとおり、相続が発生する(亡くなる)時期は不明で、それまでに状況は刻々と変化します。そのため、遺言は一度書くだけでは十分ではなく、長くとも数年ごとには、遺言書の書き直しを予定に入れておくようにします。遺言時の状況と実際に亡くなった時の状況が大きく異なる場合、大昔に書いた遺言書は、かえって、紛争の原因にさえなります。
また、あわせて、相続が発生するまでには、認知症になったり、入院したり、介護施設に入所したりすることがあります。これに備えるには、遺言書だけでなく、任意後見契約や財産管理についての取り決めをすることも必要かもしれません。というより、現実には、一億円程度までの総資産の方は、配偶者と自分が亡くなるまでの生活を安定させるために何をするかを第一に考え、生活を安定させた上で出来る範囲で推定相続人のために、紛争を防止した形での財産を残すことになると思います。

相続人となった方からの相談の場合、いつ相続が発生した(亡くなった)方の件かを確認し、資産・負債の状態を確認します。負債が多い場合は、相続放棄が必要となりますが、亡くなってから3ヶ月を過ぎている場合には、相続放棄であっても、弁護士に委任頂いた方が適切です。
資産・負債が判明して、遺言書がある場合は、遺留分が侵害されているか否かが問題となります。遺留分が侵害されている可能性がある場合、原則として亡くなってから1年以内に、内容証明を出しておく必要があります(民法1042条)。
遺産分割や遺留分行使の侵害がある場合、裁判所外で話がつかなければ、家庭裁判所での調停を申し立てることになります。調停でも話し合いがつかなければ、審判又は裁判を申し立てることになります。
遺産の範囲や遺言書の有効性に争いがなければ、調停、審判又は裁判にかかる期間は2年程度までです。
遺産の範囲の確認や遺言書の有効性は、調停、審判とは別の裁判手続きで争うことになります。これらの裁判手続は、通常の民事訴訟ですので、一審だけでも1年余りかかることになります。遺産の範囲の確認訴訟や遺言の有効性の確認訴訟が決着するまで、遺産分割等の調停、審判は、進行できなくなります。

最後に

2015年からの相続税増税に備えて、節税のために貸家を建てることが大きく宣伝され、実際そのように行っている人もいるようです。確かに、貸家建付地となると相続税の評価が下がり、小規模宅地の評価減も適用できる場合もあります。
しかしながら、ここ1年くらいは景気が良くなっているとはいえ、現在の日本は、人口減少社会、場所にもよりますが、住宅の必要性が徐々に減って行く社会です。貸家稼業につきものの空家は、これからますます激しく発生する可能性があります。また、最近は建築工事費が上がっているので、修繕費もかさむ可能性があります。家賃保証といっても、保証する会社が倒産してしまうリスクもあります。
財産総額が数億を超える方や大家稼業として真剣に行う覚悟がある場合を別にして、相続税増税対策としての借り入れによる貸家建設は、リスクの高い判断だと思います。

費用の目安

ご自分の相続に関する費用は、基本的には遺言書の作成費用です。公正証書による遺言をおすすめしますので、公正証書作成に要する数万円から数十万円の実費と、調査に要する費用数十万円です。財産管理契約、任意後見契約の費用は、月数万円からです。 相続人となった場合、相続財産の調査に要する費用は、数万円から数十万円です。相続放棄に要する費用は、相続人1人について、裁判所費用等を含め原則として5万円+消費税です。
遺産分割等の調停、審判、裁判の弁護士費用は、原則として旧弁護士会の報酬規定どおりです。ただし、一定の財産が入手できることが確実な場合、要望があれば、着手金を大幅に減額する代わりに、報酬を増額します。

着手報酬
請求300万円まで8%16%
請求3000万円まで5%10%
請求3億円まで3%6%
それ以上2%4%

※各消費税別

調査だけの受任は、20万円+消費税を原則とします。