破産・個人再生の実務


東京地方裁判所民事20部、破産再生部の
裁判官による、東京三弁護士会の弁護士を対象とした
講演会がありました。
主に、個人自己破産、個人再生申立代理人向けへの
裁判からの要望事項が講演されていました。
話の内容の多くは、
即日面接通信
個再通信
として、不定期に20部から要望として、
文書によるお知らせがある事項でした。
しかしながら、申立代理人の立場では、
これらのことをすべて完璧に行うことは、
必ずしも容易ではありません。
例えば、裁判所は、
通帳は申立直前に記帳するように、
おまとめ記帳部分は、明細を取得するように、
指示しています。
確かに、申立代理人が自分で動くことが
できることであれば、これらは、困難なことはありません。
ところが、このような裁判所の要望事項の多くは、
申立人自身が行わなくてはならないことがほとんどです。
ちなみに、弁護士が破産申立準備のためとして、
銀行の支店に対し、取引履歴の開示を
求めても、ほとんどの場合、
「本人でなければ」といわれてしまいます。
このような理由で(申立人本人にとって困難なこともあるため)、
裁判所の要望とおりの申立書をつくることは、必ずしも容易ではありません。
また、破産再生部の裁判官は、
破産申立代理人の準公的立場を強調します。
しかしながら、破産申立代理人は、あくまでも
本人の代理人であって、本人の利益確保が業務
の中心です。
例えば、受任後、依頼者の都合で
自己破産や個人再生申立が
遅れることが良くあります。
遅れる理由としては、
申立費用がたまらやい場合
書類の準備ができない、
遺産分割等先行する作業が終了しない等
というものです。
申立が遅れる場合、
申立代理人の準公的立場を強調すると、
債権者の権利維持に協力できないことをも理由として、
申立代理人は、辞任ぜざるを得なくなる
ことも出てしまいます。
しかしながら、
私は、依頼者が代理人から重要な注意を守らないとか、
違法な行為を積極的に行なっているというような、
辞任が不可避な事案以外でも、
辞任することが適切とは思えません。

破産申立代理人の立場について、
いろいろと考えることある
講演会でした。