認知症の人が訴えられたら


認知症の人が家賃の滞納等の訴訟を提起された場合、
どうするのでしょうか。
成年後見申立用の診断書
www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/koken/koken_shorui.html
を取ることができたら、それを訴訟係属している裁判所に送付して、
訴訟能力が無いので、訴訟を中断して欲しいと連絡します。
(民事訴訟法28条、124条1項3号。
law.e-gov.go.jp/htmldata/H08/H08HO109.html
ただし、意思能力についてはっきりした規定は、ありません。)
多くの場合、訴訟能力に疑義があるとして、訴訟は中断されます。
訴訟が中断される前に、相手方が訴訟を取り下げることも、良くあります。
本人の関係者が、後見人選任を申し立てるとは限らないため、
相手方にとって、訴訟を継続できるか分からないからです。
つまり、後見人専任申立がなされない場合、
相手方が費用を負担して、特別代理人を選任することが必要になり
費用がかかる場合があるからです。
(民事訴訟法35条)
相手方が訴訟を取り下げなければ、
訴訟が中断されている間に、成年後見人選任申立をして、
成年後見人が就任した後に、訴訟を受け継ぎます。
(民事訴訟法124条1項3号、民法859条1項)
law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html
本人の側で訴訟遂行を急ぐ場合、
審判前の保全処分として、財産の管理者の選任申立をして
財産の管理者を選任してもらいます
(家事審判法15条の3第1項)。
law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO152.html
審判前の保全処分により選任された財産の管理者の権限は、
家事審判法16条後段により、民法27条から29条が準用されています。
このため、民法28条、103条により、保存行為以外の行為には、
家庭裁判所の許可を得る必要があります。
しかしながら、相手方から起こされた訴訟への対応は、保存行為ですから、
財産の管理者として、家庭裁判所の許可無く、訴訟行為できます。
ただし、和解等という訴訟を終了する行為は、
保存行為とは言えないので、家庭裁判所の許可が必要です。
なお、訴訟を提起するには、家庭裁判所の許可が必要です。
自分の整理のために書いて見ました。