年金による離婚抑制


年金制度の不合理性を知る事件がありました。
本来、年金は、離婚するか、そのままでいるかという個人の
問題とは、無関係なはずです。
しかし、年金は、強力な法律上の離婚の抑制装置となることがあります。

年金のために、法律上の離婚なせずに、別居夫婦となることは、
大変におかしいと思います。
次のような場合、法律上の離婚をして年金分割すると、
数百万円単位で、年金受給額が減ります。
夫が年金をもらい始めた60代前半
妻が65歳未満の就労経験のない専業主婦の場合です。
夫は、特別支給の老齢厚生年金を受けています。
ここで年金分割をすると、
夫の年金は直ちに減額されます。
しかし、
妻は、65歳になるまで何ももらえません(特別支給がない)。
つまり、妻が年金をもらえるようになる
65歳になるまでに離婚して年金分割をすると、
年金を大幅に損することになります。
私が特殊な事件に遭遇しただけなのかも
しれませんが、大きな違和感が残りました。
なお、年金については、社会保険労務士に
頼んで調査してもらいました。
また、通常、仕事では、根拠を明確にするため、
条文にあたって確認しています。
しかしながら、年金の条文は、縁遠いので、
諦めました。