専門家後見人の不祥事


末尾に引用するように、
弁護士の成年後見人による不祥事(業務上横領)が報道されています。
現在の制度では、弁護士会が損害を補填してくれることはありません。
また、業務上横領は、故意犯なので、弁護士賠償責任保険
(過失による賠償責任を補填する保険)
による賠償での被害者救済は、期待できません。
被害者は、横領した弁護士から返金を受ける他
ありません。
このため、現在の制度では、被害者救済は、不十分です。
また、司法書士後見人による業務上横領もあります。
弁護士や司法書士という専門家後見人による業務上横領を防止し、
起こってしまった場合の被害者救済には、どんな方法があるのでしょうか。
現在の制度を前提にするのなら、
後見人に選任される弁護士は、被後見人の財産より多くの財産を
所有している人に限定する必要があると思います。
他には、資力ある法人を設立して、
法人を後見人に選任して、万一の賠償責任は法人に負ってもらう。
個別の後見業務は法人から個々の弁護士に委任する
という方法も考えられます。
また、宅建業者のように、損害賠償金の担保金を供託しておく
ことも考えられるかもしれません。
弁護士会では、後見人候補者には、FXや信用取引を
しないように求めるとか、負債を確認するとかを検討しています。
なお、親族による後見では、専門家後見人よりもはるかに高い割合で
横領が起こっています。
成年後見制度は、能力が低くなった方が生活していくために
必要不可欠の制度です。
しかし、横領されない、横領されたとしても被害弁済の方法がある、
という信頼感がないと、成年後見制度は運営できません。
新規の規制を導入することは社会的コストが増大することに
なるので、できるだけ避けるべきだとは思います。
しかしながら、後見人による横領を防止するためには、
後見人資格の制限、資産の制限、実効的な監督制度を
導入することが必要になっていると思います。
mainichi.jp/select/jiken/news/20111117k0000m040072000c.html

成年後見人:8500万円着服容疑で元弁護士逮捕

 成年後見人として管理していた不動産の売却代金約15億円のうち約8500万円を着服したとして、警視庁捜査2課と麹町署などは16日、元弁護士の柴田敏之(75)=東京都中野区中央4=と事務所元事務員の宮城淳一(54)=千代田区三番町=の両容疑者を業務上横領容疑で逮捕した。他にも約3億円の行方が分からず、同課が経緯を追及する。
 逮捕容疑は08年4月下旬、柴田容疑者が成年後見人を務めていた渋谷区の女性=昨年3月に99歳で死亡=と親族が所有していた同区のビルと土地の売却代金の一部約8500万円を着服したとしている。2人とも容疑を認めているという。
 柴田容疑者は女性と親族から委任を受けて不動産の売却手続きを行い代金を事務所の口座で管理しており、捜査2課は金の一部を事務所の借金の返済などに充てたとみている。女性らには「不動産取得税を支払った」と説明したが、女性の三女(79)に税務署から税金が申告されていないと通知が届き、発覚した。
 柴田容疑者は第一東京弁護士会に所属していたが、今年10月、体調不良を理由に弁護士を廃業した。【前谷宏、浅野翔太郎】
毎日新聞 2011年11月16日 21時12分

弁護士を1510万円着服容疑で逮捕 成年後見制を悪用 名古屋

sankei.jp.msn.com/affairs/news/110616/crm11061612030013-n1.htm

2011.6.16 12:01
 成年後見人として管理していた愛知県内の男性の預貯金約1510万円を着服したとして、名古屋地検特捜部は16日、業務上横領などの疑いで、名古屋市千種区の弁護士、広嶋聡容疑者(35)を逮捕した。
 逮捕容疑は平成21年7月~22年9月、銀行や郵便局の男性名義の口座から二十数回にわたって現金を引き出し、計約1510万円を着服するなどしたとしている。
 特捜部によると、広嶋容疑者は、男性が亡くなった後に着服を隠蔽するため、後見事務終了報告書に改竄した口座の通帳のコピーを添付し、名古屋家裁に提出した疑いも持たれている。