長期、多数回に渡る被害


暴行、窃盗、横領等、多くの犯罪では、
犯罪者は、多数回犯罪を繰り返します。
これらの犯罪に対し、刑事手続が取られることもありますが、
すべての犯罪に刑事手続が取られることはほとんど、ありません。

起訴されなかった犯罪(余罪)があることは、
刑を決める際に、ある程度は、考慮されます。
しかし、当然、余罪がすべて起訴された場合よりは、軽くなります。
刑事手続は、非常に厳格な立証を求められるため、
すべてを刑事起訴することは、無理なのでしょう。
窃盗、強姦等は、犯罪ごとに被害者が異なる場合が
多いと思います。
これに対し、暴行、横領等では、同じ被害者が同じ加害者から、
多数の犯罪被害を受けていることがあります。
同じ加害者から、多数の犯罪被害を受け、
相手方に資力がある場合には、
民事訴訟を提起することになります。
刑事に付随する損害賠償命令制度では、
起訴された犯罪についてだけ審理されるため、
余罪の損害賠償を求めるには、民事訴訟が必要です。
刑事で余罪全てが起訴されなかくとも、
民事で余罪による損害が認めれる可能性は、当然あります。

民事と刑事では、必要とされる立証の程度が異なり、
民事では証拠も制限されないからです。
横領では、被害者がいくら取られたかよく分からない、
という場合も良くあります。
一定の財産があり、今は無くなった。
使い道が判明している分は、いくらである。
取られたという他ない、部分はいくら、
というような主張立証では、足りないかもしれません。
長期に渡る暴行でも、いつ殴られたかを
主張することさえ困難な場合もあります。
被害内容さえはっきりしない犯罪被害は、
民事でも救済されにくいと思います。