成年後見開始審判の取り消し


兄が勝手に母の成年後見を申し立てた。
母は、十分財産管理できるので、成年後見開始審判を
取り消したい。
姉が成年後見人に選ばれたが、母は、財産管理できるはずだ。
姉は、財産管理能力ある母に成年後見申立をして、
母を虐待しているので、成年後見人の解任をして欲しい。
というような相談が時々あります。
これらの相談は、
財産管理能力があるにもかかわらず、裁判所の調査が不十分なために、
成年後見が開始されたとするのなら、大変な人権侵害です。
成年後見開始審判は直ちに取り消されるべきである、
ということになうはずです。
しかし、多くの場合、このような言い分は、
相続財産争いの前哨戦ということが多いと思っています。
兄が、母をケアマネジャーからの勧めで、特養に入るために
成年後見を申し立てた。
意識が一時的にはっきりした母が、特養を嫌がって、妹に、
財産を贈るといったので、妹が意識が明確であると
騒ぎ始めた。
しかし、実際には、母は特養で生活せざるを得ない状態にある。
という場合でも、冒頭のような申し出になります。
姉が父をケアマネジャーの勧めで施設に入れた。
兄が見舞いに行ったところ、父は兄に財産を贈るという遺言書を書くと言った。
成年後見中の遺言だと効力が疑問なので、姉を虐待者として、
後見人解任申立をした。
2番目では、このようなことも、考えられます。
本人が、快適に生活するための成年後見制度が、
相続財産確保に邪魔だとして、攻撃されることは、
大変に残念だと思います。
成年後見の適用になれば、
基本的に、遺言によって相続財産を確保するということは、
できなくなります。
遺言は、本人の財産処分の権利として重要ですが、
遺言を書かせて財産確保しようとすることが、
成年後見の適用でできなくなることから、
紛争が誘発されるようです。