家庭裁判所裁判官による研修


先日、弁護士会で開かれた東京家庭裁判所の裁判官による研修に参加してきました。
研修内容は、離婚についてで、家裁実務の傾向について、話してくれました。
話には、大きく、3つの要素があったと思います。
1 家事事件手続法
2 定型化
3 徹底的に争わないで欲しい
の3点です。
1 家事事件手続法について
law.e-gov.go.jp/announce/H23HO052.html
家事事件手続法が来年から施行されるため、その準備が大変の様子です。
弁護士から見て、手続き自体が大きく変わるというものではないのですが、様式等が変わります。
新しい様式が公表されています。
www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/index.html
2 定型化
家裁は、2011年3月の震災前後から、大変に事件数が増えているそうです。
私も離婚調停3件、遺産分割1件ですから、増えているように思います。
このために、上に書いたとおり、様式の定型化や、
5,6年前から行われている、婚姻費用や養育費の算定表の公表が行われています。
www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf
定型化すると事務処理がスムーズになると共に、
争った場合の結果が予測て来るようになるので、和解による早期解決が容易になるというメリットがあります。
逆にいうと、婚姻費用や養育費では、個別事象を力説しても、余り考慮されないということです。
もっとも、出ていった側が出ていった家の住宅ローンを支払っている場合、婚姻や養育費が、賃料額の一部分減額される様です。
3 徹底的に争わないで欲しい
財産分与の算定方法、
住宅ローン付き住宅の処分、
等は、弁護士からの質問がありましたが明確に答えてくれませんでした。
以上に加えて、
面接交渉、
も、当事者の合意がなくては、実際的な解決ができない事項です。
離婚事件には、勝者も敗者もいないと思います。
不可能になった結婚による法律関係を精算して、
新しい生活を安定させる手続きです。
裁判所も、
多量に起こり、早期解決が必要な部分(婚姻費用と養育費)については、定型化をすすめています。
しかし、もう少し時間を書けられる部分では、自主的解決を計って欲しいようでした。
裁判所の職責放棄とも言えますが、争って決着しようという弁護士の習性も考えものと思いました。
離婚後の生活再建のために譲れないものは何か、を
ご依頼者と相談してよく整理して、
譲れるものについては譲歩して、
ご依頼者の生活再建に尽くしたいと思います。