後見か保佐か


高齢者、障害者のサポート役としては、
成年後見人の方が、保佐人や、補助人よりも、
業務はよほど簡単です。
成年後見人は、多くの場合、本人意思がないので、
合理的な方法で福祉を受け、財産管理すればよいだけなのに対し、
保佐や補助では、本人の具体的な要望に深く配慮する必要があるからです。
また、介護や福祉の要望あるものの、貸家等の大きな財産の管理は全くできなくなった人に対しも、後見業務の方が簡単です。
というのは、保佐、補助には、原則として代理権がないので、本人に何するようにアドバイスする他ありません。
実際には、本人はアドバイスのとおりに動くことはできません。
家裁から代理権をもらったとしても、代理権は個別に定められているので、保佐人にはできないことが残ることがあるからです。
このため、
貸家の管理、預金の管理等ができなくなった
高齢者、障害者についてのサポートをする場合、
普通は、成年後見を考えます。
わざわざ、保佐にすることは、まずありません。
実際にも、まだらボケで最近のことは余り覚えていない、
という人では、貸家管理できることはないからです。
クーラーの修理を頼んだけどどうなっていますか、
という借家人からの要望を、まだらボケでは適切に処理できません。
まだらボケなら、財産管理はできないので、成年後見人が良いと思います。
ところが、医師によっては、
多少の日常会話ができるので、一部の財産管理はできるはずなので、保佐だ、
という方がいます。
確かに、認知症が相当に進んでも、日常の買い物や、慣れた食堂での食事くらいは
できる方は多くいます。
しかし、後見を受けるかどうかで問題になっているのは、
貸家の管理、施設入所、損害賠償金の請求、銀行預金の引出、
遺産相続等です。
こうしたものの多くは、相当の能力が必要です。
実際には、上述のとおり、貸家の管理等について、個別に代理権付与を求めれば、保佐でも、問題が発生することが少なくなります。
でも、後から、株が見つかり、証券会社の担当者の言うままに
売買していた場合の法的処置は、別個の代理権が必要になり、
家庭裁判所に代理権の付与を求める必要がでます。
というわけで、日常の買い物等だけは支障がない、
という程度の人には、
財産管理は無理なので後見の診断
としてもらった方が、無難です。